ラフマニノフの代表作とも言えるピアノ協奏曲。交響曲 第1番の初演を酷評され自信喪失になっていたラフマニノフにとって、起死回生の1曲となった作品です。第3楽章は、明確な2つの対照的な主題に加え、前楽章に登場するモチーフを断片的に使ったり融合させたりと、形式に縛られず、叙情的なメロディをたっぷり歌い上げるところも魅力のひとつになっています。原曲は極めて高度な演奏技巧が要求される曲ですが、少しでも“手の届く”レベルにすることで、多くの方々にピアニスト気分を満喫していただけたならいいなと願い、原曲の骨組みを壊すことのないように楽曲分析。そして、動きや音の厚みを変えながらも、オーケストラが奏でる豊かな響きと掛け合いの楽しさも織り込んだ、贅沢な内容に編んでみました。［B］や［K］のカデンツァ風の箇所も、楽譜から受ける印象よりも、指使い次第でとても弾きやすくなると思います。また、いわゆる美味しいとこ取りのアレンジでは外されがちの［I］も、澱みなく前へ前へ進んでいく緊張感が心地良いはず。［L］は低音を十分に響かせて、壮大に歌ってください。