ベートーヴェンのヴァイオリンソナタは全部で10曲あり、その中で特定のタイトルの付いた曲が、第9番の「クロイツェル」と、この第5番「春」があります。この2曲は他の作曲家すべてのヴァイオリンソナタの中の代表格でもあります。特に、1801年に生まれたこの第5番は幸福感に満ちた曲想で「スプリングソナタ」と呼ばれて愛好されています。テーマは軽やかな表情で演奏しますが、16分音符が転んでしまわないように、整然とテンポを保ってください。中間部のハ長調の部分は、元気良く華やかに演奏しましょう。後半部分は右手と左手で交互にフレーズが移り変わりますので、ゆっくりしたテンポから練習を始めて、指に覚えこませてください。