ひらひらと舞う、かわいらしい蝶々が描かれています。グリーグ、シューマンにも同じタイトルの曲があり、ともによく知られています。この曲は8分の6拍子で書かれ、8分音符の細やかに動く旋律に、軽やかに飛びかう蝶々をイメージすることができます。両手で弾く冒頭部分は、曲の雰囲気を醸し出しています。繊細な動きをピアニシモの息をのむような美しさで演奏しましょう。1フレーズで弾きますが、とくに3小節目の5の音型はていねいに。そして、4、8小節目の休符には、蝶の姿を追い求めるような間を。そう、休符にも音楽があることを十分に感じてください。全体になめらかな右手の動きに対して、左手の伴奏ははぎれよく。後半の63小節目からは、蝶々が花から花へ飛ぶようなイメージです。旋律のスタッカートは優しい表情で、そしてペダルも入りますが、4小節をひとつにまとめてください。バスの音は乱雑にならないように、8小節の大きな流れを感じましょう。(佐藤薫子)