冒頭をご覧ください。Piano IIは8分音符の3連符のリズムで伴奏を、それに対しPiano Iは8分音符でメロディを奏でます。ここでラフマニノフは、流れの異なったリズムを同時進行させています。この多層的ともいえる8分音符のリズムが曲全体を支配していて、ゆったりと流れる中、微妙にうつろう音の表情を作り出しています。ところで8分音符で表される3対2のリズムですが、各音のタイミングを合わせようと意識しすぎると流れが失われますので、メロディの抑揚や息づかいなど、表現の中で流れをとらえてアンサンブルしてください。それとの関連ですが、全体のテンポ感は極めて流動的で自由なものととらえてかまわないでしょう。